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「…ん?」
下駄箱で靴を履き替え、自分の教室へ向かおうとする…が、風丸はいつもと違う現状に気付く。
掲示板の前に出来た、…人だかり。
なんとなく嫌な予感がしながらも、何だろうと風丸はそれに向かった。
嫌な予感は的中するのだが。
「風丸」
「おう、おはよう豪炎寺」
「……」
ふいに前に現れた豪炎寺に挨拶をしながらも、足を掲示板に進めようとする。
しかし、通さないとばかりに目の前に立つ豪炎寺によりそれは許されなかった。
「…?通してくれ」
「行かない方がいい…」
「何でだ?」
「………」
豪炎寺の有無を言わさぬ足止め。
余程の事なのか…、風丸は更なる不安感に駆られた。
しかし、理解しなければならない。
この不安を取り除きたい―――、
風丸は豪炎寺を押し退け掲示板に向かった。
「…あ、来たぜ」
「風丸、これってマジかよ?」
「ありえねぇ〜〜〜」
いつもなら絶対に関わらない、人の足元ばかりを見ようとするしょうものない不良生徒達。
はやしたてる彼らを無視し、風丸は掲示板の前に来た。
風丸は後悔した。
保健室で、自分の欲望の為無闇に事に及んだこと。
理性を保てなかった自分を。
…鬼道を巻き込んでしまった、責任感。
「…なんだよこれ……」
「…だから、見ないほうがいいと言ったんだ…ッ」
「なんで……」
『ス ク ー プ ! ! 風丸と鬼道、熱愛発覚!!?』
『昨日、保健室にて雷門サッカー部の疾風ディフェンダーこと[風丸一郎太]と、天才ゲームメーカーこと元帝国サッカー部キャプテン[鬼道有人]が性行為をしているのが目撃され〜〜〜〜』
掲示板一面に張られた、自分と鬼道の既成事実の記事。
自分と鬼道の情事中の写真。
風丸は掲示板前に、崩れるように立ち尽くした。
開いた口が塞がらない、とはまさにこの事だ。なんだかむしろ笑えてくる。
…どうすればいい、なんでこんな事になってる。
風丸の中では、これからどうなるであろうサッカー部の事ばかりが浅黒く渦巻いていた…。
うわあシリアス!続きます。
のろのろと続くやもしれませんが、付き合ってくださったら嬉しいですw
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