「ごめんなさいね。みっともないところをお見せして」



傷付いた手をそのままにオセを振り返る。


思えば少し放置してしまっていたわね。



「構いませんわ!あなたの心境は決して間違いではございませんから!」

「そう。それならば良かったわ」



うふふ、と笑うオセに溜め息を漏らしてふと思い出す。



「結局お願い事してないわね」

「はい!ですから一つわたくしからご提案がございます!」

「提案?」



首を傾けた私に彼女は今日一番の笑顔で告げた。



「わたくしと!このオセと、正式に契約を結びませんか?」



言っている意味が把握できず、またも首を捻った私を気にすることなく言葉を連ねる彼女。



「申し上げれば、あなたが今回わたくしを召喚するべく用いた魔方陣は文字通り"悪魔を安全に喚び出す"事のみに重点を置いてあるものでございました!」

「つまり、あなたに対する強制力は働かないと?」

「仰る通りでございます!わたくしども召喚された悪魔は召喚主を害することこそできずとも、自由に地獄に帰還することができるのです!」





 



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