何故、と。

その場に崩れ落ち、震える声で呟く。

信じられない。信じたくない。

驚愕に固まったまま涙すら流せない私に、彼女は落ち着いた声で一つずつ丁寧に説明してくれた。



曰く、この躯の持ち主だった人間はこの世界の私だという。


だから、容姿も同じだし、魂の定着も早く、生まれ堕ちた場所も似通っていた。



元の世界の私が死んでいるというのは、この世界に憑依するときに躯そのものが消滅してしまったから。

厳密に言えば、私の躯とこの躯の魂。
その二つが消滅してしまったという。



「世界を越えた人間すべてがこうなる訳ではございません。あなたの場合、世界を越えるにあたり、大きな力が介入してしまったことが原因なのです」

「大きな、力?」



彼女は静かに頷いてまた口を開く。



「この世界とも、あなたの世界とも違うまた別の世界の神の力が働いたのでございます。その力により、あなたの魂のみが無理矢理この世界に飛ばされてしまいました」

「……………」

「その反動であなたの元の躯も、この世界のあなたも、消滅することになったのです」



配慮してか、比較的ゆっくり話される内容をなんとか頭の中に放り込む。


神の力など信じたくはないが、悪魔がいて魔法があるのならば、否定することはできない。




 



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