「……成る程、ね」
確かに【楽園】に生み堕とされた私ならばどちらを選ぶにせよ、滅多な限り出くわすことはないでしょう。
"彼女"とやらはなかなか頭の回る人間らしいわね。
「だいたいは理解したわ。ありがとうオセ」
「どういたしまして!」
礼を述べた私に彼女は最初と同じ様に明るく笑って見せた。
そんな彼女を一瞥し、私は窓辺にゆっくりと近付く。
―――そうか。私はまた食い潰される者の側に回ってしまったのか。
「………っ!」
―――バリンッ!
振り上げた拳を思い切り窓硝子に叩き付ける。
硝子は砕け、破片で手が傷付けられて血が流れるが気にする余裕なんてない。
「絶対に、許さない……赦さない!」
呻くような低い声が口から漏れる。
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