「何故神の力とやらが私に?」



何か条件でもあるのか。
この事象は頻繁に起こるものなのか。

言外にそう孕ませた私の質問に、オセは少し言いにくそうに口を閉ざしたが、暫くして話し始めた。



「あまり正確にはわたくしも分かりません。ですが、あなたの魂に刻まれた制約を読み解く限り、また違う世界の人間がこの世界に来る為に必要な過程であった様でございます。本来ならば、この様な事は滅多に起こり得ません」

「私ではない人間がこの世界に来るのに必要……?それはつまり、」

「生贄、でございますね」





―――生贄。



その言葉に頭が急激に冷えていくのを感じた。

何処の誰だかは知らないけれど、私とクロエを引き離すなんて良い度胸しているわね。

沸き上がる怒りと殺意をなんとか押し込める。



………でも、何故この世界に来る必要があるのかしら。
何か目的があるにしてもどうして異世界に?

怪訝に思い首を捻ると彼女はああ、と呟いた。



「説明すると少し長くなりますが、ご容赦下さいませ」




 






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