想像していた悪魔とは少し違うけれど。
思っていたより高位の存在を喚んでしまったらしいけれど。
成功したのならば構わないわ。
歓喜で緩む口元が押さえられない。
「早速だけれど、お願いがあるの」
「なんなりと!」
高ぶる気持ちを落ち着ける為にもう一度深呼吸する。
「私を元居た世界に還して欲しい」
「元居た世界…?」
オセは私の言葉に訝しげに首を傾けた後、納得したように手を叩いた。
「成る程!最初に感じた違和感の正体はこれだったのですね!」
彼女はうんうんと頷いて目を閉じた。
「あなたのお名前は?」
「……デルフィニア・リストレイシス」
私の答えを聞いた後少し黙っていたが、オセは急に顔をしかめる。
そして酷く残念そうな顔をした。
「どうかしたの?」
「んー…ごめんなさい。あなたのお願い、叶えてあげられないです」
「なっ……」
絶句した。
驚愕に目を見開いた私に、オセは真剣な表情で告げる。
「元の世界のあなたは、既に亡くなっております」
楽園の扉は固く閉ざされた
(絶望に絡め捕られる)
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