因みに訓練は明日から。

今日はその前の一休みといったところかしら。



でもいざこうして静寂の中に放り出されると、嫌でも物思いに耽ってしまうわね。


そうなると思い浮かぶのはクロエのこと。

元気でやっているかしら。


頭はとても良いし強い人だったけれど、生活能力は著しく低いから心配だわ。

まあ、最悪の場合は自分で何とでもできる人だから大丈夫だと思うけれど。



………そうね。
他に話題も見付からないし、今日はクロエのことについてお話しましょうか。


その前に、元の世界での私の身の上話もしておかなければならないかしらね。

まったく美しい話ではないけれど、まあ聞いて頂戴。



私はヨークシンという大都市に生まれたの。
厳密に言えば所謂アンダーグラウンド。もっと言えばこの世界の【楽園】みたいな場所。


私が【楽園】を毛嫌いしていたのはその為よ。



とはいえ【楽園】の方がまだマシだったわ。
あちらには【ルール】がない。
物心ついたときにはもう慰み物扱い。

その中でたくさんの人間を見てきた。
欲にまみれた大人や食い潰される子供。

秩序なんてなく、弱肉強食を体現したような場所だった。



まさに【地獄】だったわね。





 






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