「じゃあ、またね」
「またご飯作りに来てねー」
「…わかったわ」
見送りに玄関に立ったクロエに小さく手を振ってそのまま足を踏み出す。
すっかり暗くなった空を一瞥して家路を急いだ。
《―――お……ぃ……》
「え?」
微かに聞こえた声に立ち止まる。
振り返るもこちらを見ているものは誰もいない。
デルフィニアは小さく首を傾げたが、気のせいだと判断してもう一度歩き出す。
しかし、突然足元に巨大な魔方陣が表れたことで踏み出した足を留めることになった。
「な、なに…これ…」
眼を大きく見開いて赤く浮かび上がっている魔方陣を見つめていたが、次第に意識が薄れていくのを感じた。
―――バチンッ
魔方陣がいっそう激しく瞬いた後にはデルフィニアの姿はどこにもなかった。
そして花は沈む
(喪失は一瞬で)
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