仕事を一つ終わらせた次の日の昼頃、例の彼女がなにやら妙にご機嫌だったという話を聞いた。


情報源は勿論あの酒場の店主だ。
なんの気紛れかは知らないが、あの口の固い店主が面白そうに話していた。





デルフィナとは三ヶ月前の仕事からそれなりの付き合いがある。


もっとも、たまに酒を飲みながら会話をする程度だが、他の人間、特に女と中身のない話をするよりはずっと充実した時間だ。
だから彼女のことはそれなりに気に入っている。



この後の予定もなかったので彼女の家に向かうことにした。


デルフィナの家はこの街の外れに存在している。


街の入口からはやや遠いが、この場所を選んだ理由は想像に容易い。


比較的静かだからだろう。
そしてもう一つ挙げるならば、遊郭や娼婦が少ないからだ。


話していて気付いたことだが、彼女は体を売る女にも、それを買う男にも嫌悪を抱いている。


初めは同性として思うところがあるのかと思ったが、おそらくそれより根深いなにかがあるのだろう。


毎度巧妙 に話を逸らされるので深くは分からないが。











ご丁寧にネームプレートが掲げられている家の扉をノックをして彼女が出てくるのを待つ。


暫くして不機嫌そうな表情で出てきた彼女は俺の顔を見るなり扉を閉めた。



………今更だがこの女、淑女のような振る舞いとは裏腹にイイ性格してるよな。




 



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