そこで一旦会話が切れたので、私は新しくカクテルを頼む。
今度はザンシア。私のお気に入りの一つよ。


暫く黙っていたディノさんがまた話し出した。



「オマエら、本気で行くワケ、ラティウムに?」

「ええ、勿論」

「行くよ。きっと面白いことになる」

「オレには全然そうは思えないケド」



とても面白いことになるわ。
いいえ、面白いことにするのよ。
他の誰でもない、この私が。


その為に今まで準備をしてきたのですもの。
その為に今まで色々なことを考えてきたのですもの。



なにが目的かはまだわからないけれど、"彼女"の思い通りにはさせない。
一から十のすべてを刈り取ってあげるわ。



そして、最期には……。







―――ガタッ!



「!待て、このチンピラが!!」



―――ガタッ!





突然横からした大きな物音に驚いて顔を上げると、ディノさんが慌てて店を飛び出していた。
そしてそれを追い掛ける一人の男性。



………いけない。随分と長い時間思考に耽ってしまっていたわ。


内心顔をしかめて、小さく笑うアルバロを見上げる。



「【幸運】を、ディノ。……お互いにな」

「……随分と、意地の悪いことをしたのね」

「俺からの心を込めたプレゼントだよ」

「ならば余計に質が悪いわ」



相変わらずの性格の悪さに深い溜め息を吐くと、彼は先程までディノさんが座っていた椅子に座った。



「……いい子の皮を被るのではなかったのかしら?」

「聞いてたんだ?でもその前にお前に聞きたいことがあってね」



その言葉に細めた横目で彼の顔を見る。




 






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