入学を控えたその日、最後にいつも酒場で飲もうと思い、店に向かうと、客の中に比較的仲の良いディノさんと、どこか見覚えのある金髪の男性を見付けた。
「ごきげんよう。ご一緒してよろしい?」
「おっ、デルフィナ!イイところに!」
「なにかあったの?」
「コイツのことなんだけどよォ」
簡単に挨拶してディノさんの右側に座る。
マスターにカシスオレンジを注文して、彼が指差した金髪の人物を見上げた。
「そちらの方は…………あら?もしかして、アルバロ?」
「俺以外の誰に見える?」
「知らない人に見えたわ」
不覚だけれど、全然アルバロには見えなかった。
だって金髪に赤いヘアピンまで付けているのよ?
………所謂イメチェンというものかしら。
「どうよ、コイツのこのアタマ」
「うーん……、似合っているとは思うけれど、違和感は拭えないわねぇ」
暫く上から下まで眺めて思ったことを述べる。
それにしても、髪色をがらりと変えても格好いいだなんて 流石美形だわ。
満足そうに頷いた彼にどういった経緯なのかと問うと、予想しなかった言葉が返ってきた。
「新しい学校が楽しみでね。ついさっき染めたんだ」
「……そう」
貴方の方も妙に張り切ってるわね。
心の中だけで呟いてカクテルを口に含む。
………これも暫く飲めなくなるのよねぇ。
少し寂しさを覚えて目を伏せると、ディノさんが口を開いた。
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