「……そんなに上手く行くかしら。重ねて言うけれど、目立ってはいけないのよ?」
「大丈夫です!わたくしにお任せください!主さまは大船に乗った気でいてくだされば良いのです!」
………何故かしら。そうはっきり言われるとなんだか余計に心配になるのだけれど。
まあ、そこまで言うのならば彼女に任せましょうか。
気付かれないような小さく溜め息を漏らして、送られてきたメダルを取り出す。
これはミルス・クレア魔法院の生徒一人ひとりを識別する身分証らしい。
どんな術を使って細工しているのか、実に興味深いわよね。
「ふふっ。楽しみだわ」
一流の魔法学校の授業も、そこにある書物も、初めての普通の学生生活も。
そしてなにより、"彼女"のことも。
「もう七年。七年も待ったの。もう待てないわ」
必ず。
必ず、貴女を見付けて、痛め付けてあげる。
いびつで歪んだ存在理由
(考えるだけで胸が高鳴るの)
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