「ミルス・クレア魔法院?」
ごきげんよう。
なんだか久しぶりね。
アルバロのあの誕生日からもう一年も経ったわ。
勿論今年も盛大に祝ってあげたわよ。
クロエが言っていた通りにね。
去年と一緒で微妙な顔をされたけれど、ちゃんとケーキも食べてくれたから良しとしましょう。
ついでに私も17歳。
ああ、私の誕生日は2月24日なのよ。
どうでもいい情報?失礼ね。
魔法の勉強も随分進んで、もう結構使いこなせる。
私もアルバロも無駄に凝っていたから、本当に上手くなったと思うわ。
使ってみた感想だけれど、本当に便利ね。
おかげさまで時間の捻出が楽になったわ。
ああ、冒頭の話だけれど。
夜、恒例の酒場でアルバロが提案してきたのは、もうすぐ入学試験があると云う有名な魔法学校へ行くことだった。
「そう。一緒に行かない?」
「却下よ」
「何故?」
「やらなければならないことがあるの」
「ふぅん」
私は"彼女"に復讐したいのに、古代種がいるところに、しかも学校になんていたら身動きが取れないじゃない。
確かに学校生活にも、ミルス・クレア魔法院の蔵書達にも興味はある。
けれど優先するべきは別のこと。
………それにしても。
「貴方が学生、ねぇ」
「悪いか?」
「悪くはないけれど、縛られるのは嫌いではなかったかしら?」
「【ルール】は破るもの、だろう?」
そう言った彼の笑顔が悪どいこと。
真面目にする気はないわね。
本当、駄目な大人だわ。
←|→