彼と別れた後、私は自分の家に戻る。
少し入り組んだ場所にあるアパート。
一人暮らし………じゃなかった。
二人暮らしには丁度良い広さで設備もしっかりしているから、なかなか気に入っている。
因みに一番の決め手は防音であること。
この街で閑静な場所なんて存在しないんですもの。
「ただいま、リル」
「お帰りなさいませ、主さま!」
出迎えてくれたのは白いロリータドレスの美少女。
その正体はあの日私が契約した大悪魔、オセ。
リルと云うのは私が付けた名前。
なんでも真名を広めるのは悪魔にとって死活問題らしい。
だから呼びやすくて可愛らしい名前を付けてくれと頼まれた。
………期待に応えられたか些か謎だけれど、喜んでくれているのでまあよしとしましょう。
「今夜仕事に行ってくるわ」
「今夜ですか?それはまた急なことでございますね!」
「ええ、そうね。それでお願いがあるのだけれど」
「なんなりと!」
意気込むリルに今回の仕事内容を伝える。
それは勿論、情報収集の為。
こんな見た目でも大悪魔。
本人曰く、情報収集は霊視でちょちょいのちょい!だそうよ。
まあ方法はなんにせよ、彼女の情報は確実で最新なものであることは間違いないわ。
ちょっと反則だけれど、使えるものは使って当たり前よね。
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