盛大なキャラチェンジをしたアルバロに凄絶な違和感を拭えないままミルス・クレア魔法院の門を潜った私。
おかげさまでラティウムの街並みを観察できなかったわ。



………いい加減しつこい?
仕方がないじゃない。
突然昨日までとはまったく違う態度と口調で接されてみなさい、その日一日では慣れないでしょう?
しかも、あの冷徹な男が無駄に社交的になったのよ?
とても怖いじゃないの。





ああ、少し離れたところには人型をとったリルいて、さっそく男達から声を掛けられていたわ。
流石美少女ね。
………すべてこっぴどく突き放していたけれど。





学長であるクレメンスさんのそれなりに長い話の後、アルバロと分かれて寮の割り当てられた部屋に向かう。



因みに、男女別で、しかも入口にある鏡の魔獣のおかげでそれぞれの寮への行き来は不可能。
本来ならば男を引っ掛けにくくなると悲しむべきなのに、何故か心の底から安心してしまったわ。
………精神的に疲れていたのね、私。





一足先に部屋に入ってルームメイトを待つ。




―――コンコン



「はい、どうぞ」

「失礼しまーす!」

「……え、」



聞き覚えのある声と共に部屋に入ってきたのは、満面の笑みを浮かべたリルだった。





「……貴方、本当にいったいなにをしたの?」

「主さまと一緒の部屋だなんて嬉しいです!」

「……華麗にスルーしたわね」



それはもう美しい微笑みで言うリルになにも言えなくなってしまう。


まあ、私もまったく知らない他人よりもリルの方が嬉しいのだけれどね。



「それにしても、入学当初から人気だったわね、貴方」

「主さまこそ!噂されてましたよ!」

「それは光栄だわ」



会話をしつつ、キャリーケースから荷物を取り出して部屋に収納していく。
流石世界一の魔法学校。
部屋も広くて素敵だわ。




 



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