「この鳥頭!またもこの僕を愚弄するつもりか!?」
ごきげんよう、デルフィナよ。
私は今同じ闇属性の子と勉強の為に図書館に来ているのだけれど。
突然冒頭の声が聞こえて来たので、思わずページを捲る指が止まってしまったわ。
「またですか」
「飽きないわね、彼も」
心底鬱陶しそうに溜め息を漏らす美貌の少年と苦笑を灯す私。
彼の名前はエストさん。
私は年下にはあまり興味はないけれど、十年後が楽しみな子ね。
彼は私よりも六歳も年下だけれど、とても賢<サカ>しく魔力も高いのよ。
属性が同じと言うのもあるけれど、お互い深く入り込もうとしないから付き合っていて気が楽なのよね。
どこかの誰かさんは終始べったりくっついて来ていい加減鬱陶し……ごほん。
その誰かさんがいてはエストさんと勉強できないからビラールさんに押し付け……相手をして貰っているわ。
多分無駄でしょうけれど。
「少し止めて来るわ。このままでは他の方に迷惑になるもの。それは彼も本意ではないでしょうし」
「どうぞ。僕は新しい本を持って来ます」
素っ気なく言った彼を気にすることなく、未だに騒がしい検索ブースに向かった。
「だいたいお前はいつもいつも―――!」
「お話し中ごめんなさい」
更に音量を上げて言い募る彼に声を掛けるとま素早く振り返ってくれた。
「ん?ああ、デルフィナじゃないか!僕に何か用か?」
「少し騒がしかったから様子を見に来たのよ。どうかなさったの?」
尋ねると、またパルーが本を出さないのだとか。
またか、と内心苦笑しながらパルーに出してくれるよう頼む。
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