今日は荷物が多かったので、リルには先に部屋に戻って貰い、食堂にいるショコラプーペに事情を説明して食料を用意して貰った。



運ばれた料理を片っ端から口に放り込む姿に内心驚く。
あの身体のどこにこの量が入っているのか不思議でならないわ。
流石ドラゴン、と言うべきなのかしら。



見ているこちらが気持ち良いぐらいの食べっぷりを眺めていると、ふと気配を感じて振り返る。



「あれ、デルフィナ。こんな時間に珍しいね」

「貴方の方こそ。夕食にはまだ早いわよ?」



もう見慣れてしまった金髪と、初めて見る銀髪の精悍な顔付きの美青年が並んで入って来ていた。



「そちらの方は?」

「ああ、紹介するよ。殿下、彼女はデルフィニア。長いからデルフィナって呼んでるよ」

「お初お目に掛かります、デルフィニアと申します。よろしくお願い致しますわ」

「で、彼はビラール。ファランバルドの王子様だよ」

「はじめまして、ビラールデス。こちらこそよろしくお願いしマス」



立ち上がってお互いに握手をした瞬間、後ろから軽い破裂音がしたので振り返ると。



「あー、食った食った!」



料理に囲まれていたのはあのドラゴンではなく赤い髪の少年だった。



「随分とたくさん食べたのね」

「まだ少し足りねーけどな。あんた、世話掛けて悪かったな」



あれだけ食べても足りないの。
呆れた表情をしてしまいそうになるが、寸前で我慢する。
初対面で浮かべて良い表情ではないわね。



「どういたしまして。私はデルフィニア、貴方は?」

「オレはラギ。よろしくな」

「こちらこそ、よろしく」



軽く自己紹介が終わると、ラギさんはまた骨付きの肉にかぶり付いた。


いつの間にかラギさんの隣に座っていたビラールさんも同じように肉を食べ始める。



………もしかしてビラールさんも所謂胃袋キャラと云うものなのかしら。



首を傾げて私の隣に座ったアルバロに視線を向けると、意味深な笑みと共に肩を竦められた。



………肯定らしいわよ。




 






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