先生のことに話を戻しましょうか。
古代種のお二人はやはりと言うか、食えない人達だったわ。
私とアルバロは【ギルド】の人間だから特に目を付けられているの。
でもそれは予想済み。
リル曰く、後半年ぐらいすれば"彼女"が来るらしいから、それまでは大人しく勉学に励んでおきましょう。
復讐の為に来たけれど、それだけで帰るには勿体無いところだものね。
エルバート先生については………そうね、なんと言えば良いのかしら。
もう少し自分に自信を持てば良いと思うわ。
せっかく知識と技術があるのに勿体無い。
でも可愛らしいと思うし、嫌いではないわ。
………よく見れば美形だし。
そんなことを考えながら私は図書館に足を踏み入れた。
アルバロ?彼は授業よ。リルはお昼寝中。
それにしても、ミルス・クレアの図書館は凄いわね。
流石世界一だわ。
私達生徒は第二層までしか閲覧できないけれど、それでも十分な知識が手に入る。
知識を蓄えるのが好きな私は暇を見付けては図書館に向かい本を読み漁っている。
今は取り敢えず片っ端から読んでいるの。
「あら」
借りていた本を返して次の本を読もうと思ったのだけれど、欲しい本が無かった。
あれは続き物だったから少し困ったわね。
「検索してみようかしら」
中央にある検索ブースに向かう。
ここにはイヴァン先生の作った魔法生物、パルムオクルスがいる。
この子に欲しい本を頼めば出してくれると云うわけ。
「ごきげんよう、パルー」
「クルックー」
「探して欲しい本があるのだけれど、お願いできる?」
「ホーホケキョー」
題名を告げて検索ブースを見る。
一瞬の光の後、そこには何も現れなかった。
と云うことは。
「まだ誰かが借りているのね」
小さく溜め息を吐く。
実はこの本、前に借りに来たときにも無かったのよね。
私よりも前に借りていたならばもう戻ってきている筈なのに。
「ありがとう、パルー」
「クルックー」
パルーに礼を言って違う本を借りて図書館を出る。
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