すれ違う私服姿の女子生徒達には親しみを込めた(ように見える作り)笑顔で会釈をしていく。
学校生活では人間関係はとても大切。
だから第一印象は良くしておかなければならないわ。
寮の入り口である鏡を通り抜けて辺りを見回す。
やはり人が多いわね。
「デルフィナ」
名前を呼ばれて振り向くと、相変わらずラフな私服を着たアルバロがにこやかに笑いながら近付いてきた。
………条件反射で一歩後退ってしまった私は悪くないわよね?
「お待たせしてしまったかしら?」
「今来たところだよ」
「ならば良かったわ」
彼と一緒に寮から出る。
別々でも良かったのだけれど。
と言うか、私としては別々が良かったのだけれど、とてもしつこく誘ってきたので一緒に行くことになったの。
「ここの庭園、とても素敵だわ」
「うん。君が好きそうな感じだよね」
寮を出てすぐにある庭園に数歩近寄って見回してみる。
整えられたその美しさに思わず溜め息を吐いてしまう。
これならばきっと夜の風景も素晴らしいのでしょうね。
「時間を掛けてゆっくりと散歩したいわねぇ」
でも今はその時ではないので敢えなく断念。
待っていてくれた彼に礼を行って、魔法院へ向かう。
「ところで、ルームメイトはどうだったの?」
「とても可愛い子だったわ。あの子とならば仲良くやっていけそうよ」
まあ、貴方も別の姿では知っているし、もう仲も良いのだけれど。
それは心の中だけに留めて、アルバロはどうだったのかと聞いた。
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