「それにしても、本当に奇抜な格好ね」
派手な金髪に赤いヘアピン、黄色に塗った爪。
これでもかと言う程着崩した制服に丈の長いマント。
魔法媒介は結局タリスマンにしたらしいけれど、目の下に埋め込むなんて発想がもはや規格外だわ。
………確かにこれならば、【ギルド】のアルバロの姿と見紛う人はいないでしょうね。
しかも、年齢まで偽っているみたいだし。
「似合う?」
「ええ、とても」
「君にそう言って貰えて嬉しいよ」
そしてなにより、この笑顔の完全装備と嘘臭い言葉の数々。
前者の方は仮面のような凍り付いた笑顔だけれど、普通の人では分からないでしょう。
後者は本当に鳥肌ものだわ。
「でも、私は前の黒いアルバロの方が好きだわ。……まあ、見慣れていると云うのもあるのでしょうけれど」
「……………」
溜め息と共に漏らした言葉に無言になった後、いきなり力強く抱き締められた。
思わず身を強張らせた私はきっと悪くない。
「可愛いこと言ってくれるね、ホント」
「……あの、離して欲しいのだけれど」
「いーや」
「……っ!」
やはり前の彼の方が良いわ。
だって今のアルバロはとってもとっても怖いんですもの。
なにを考えているのかがさらに分からなくなったから、本当の本当に恐い。
大切なことだからもう一度言わせて貰うわ。
この人怖い。
………いっそのこと、本気で他人の振りをしようかしら。私の精神安定の為に。
毒々しいまでに爽やか
(いったいなにがあったのかしら)
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