未だに違和感が拭えなくて思考の海に逃避をしていたのだけれど、現実とはやはり厳しいものなのね。
「……ねぇ。貴方は本当にそれで行くの?」
「勿論だよ。その方が面白いからね」
「……そう。でも、私に言わせれば胡散臭い以外の何者でもないわよ、今の貴方」
「酷いなあ」
私の言葉に、さも傷付きましたと言うような表情をするアルバロ。
残念ながら私は貴方の裏を知っているから引っ掛からないわよ。
と言うか、私はこれからずっとこのアルバロに付き合って行かなければならないのかしら。
………今、寒気がしたわ。
まあ、きっといつかは慣れるでしょう。多分。おそらく。
だからそれはおいておいて。
「ねえ、アルバロ」
「なにかな、デルフィナちゃん」
「一つだけ、お願いがあるのだけれど」
「いいよ、言ってみて」
にっこり、と笑顔を浮かべた彼に並みならぬ恐怖を感じたけれど、なんとかそれを押し殺して隣に座るアルバロを見上げる。
「私のことをちゃん付けで呼ぶのは止めて戴けないかしら」
「どうして?可愛いでしょ?」
「本当に気持ち悪いの。聞いてくれないのならば、向こうでは赤の他人とさせて貰うわ」
「それは困るなあ。じゃあデルフィナ。これでいい?」
「ええ、ありがとう」
思ったよりも簡単に貰えた承諾に内心ほっと安堵する。
まだまだ慣れないけれど、少しはマシになるでしょう。
………多分。
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