―――コンコン





寒い日々が続く2月の下旬の今日が終わる時間。
仕事もなく、ソファで魔導書を読んでいた私は来客を知らせる音に首を傾げた。


リルならば窓から入ってくるし、私の家に来る人間なんて一人しかいない。
けれど、こんな時間に来るのは珍しい。





「こんばんは」

「ええ。こんばんは、アルバロ」



予想通りの客人は何故か大きめの箱を持っていた。



中に入るように言ったけれど、これからまた仕事だからと断られる。


ならばいったいなんの用なのかしら。



怪訝な表情をする私に少し苦笑して、持っている箱を渡してきた。



「これは?」

「ケーキだよ」

「……何故?」

「何故だと思う?」



彼の言葉に暫く思考を巡らせるが、ケーキを貰える理由が思い浮かばない。



「……特になにもないと思うのだけれど」

「ははっ。人の事笑えないぞお前」



アルバロは何故笑われたのか分からずに頭の上に疑問符を浮かべる私を見て更に笑う。





「誕生日おめでとう」

「……………え?」



予想しなかった言葉に思わず固まる。


頭の中で今日の日付を引っ張り出してくると。



「2月、24日」





私の誕生日だった。


朝からリルが朝から無駄に笑顔だったのはこの為だったのか、と頭の端で納得する。



「覚えていて、くれたの……?」

「友達、だからな。しかし、他人の誕生日は神聖視するくせに自分のは忘れてるとは」



呆然と呟いた私の頭を撫でて苦笑気味に言う。


突然のことに理解が追い付かない。



貰った箱を抱き締めてお礼を言うのが精一杯だった。




 






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