ある休日の昼頃。
私はアルバロと外出許可を取って魔法院の外に繰り出た。



なんでもアルバロが是非食べさせたい料理があると言ってたのだけれど。
それを告げたときの彼の顔がいやに輝いていたから、なんだか怖い。


でも私も街で買いたいものがあったから仕方無く許可をしたの。





「ここだよ」



アルバロがそう言って指差したのは一つのレストラン。



「……なにか嫌な予感がするのだけれど」

「気のせい気のせい」



身の危険を感じで後退ろうとしたけれど、腕を掴まれ笑顔で店の中に引き摺り込まれてしまった。































「……………」

「……………」

「……………」

「……………ねぇ」

「なにかな?」

「……これ、なに?」



目の前にある真っ赤な液体を指差して尋ねる。


煙で目と喉が痛い。
煙を吸い込みたくなくて口を手で覆う。



「これはヴォルカノ・ボッカだよ。ラティウムの名物料理らしいから、是非君と食べようと思って」



お気に召したかな?とにやにや、といやらしく笑みを浮かべる彼を思いきり睨み付ける。



「貴方っ!私が辛いものが嫌いなの知ってて……っ!」



思いきり煙を吸い込んで噎せてしまい小さく咳き込む。


あーあ。とわざとらしく呟く目の前の男が憎らしくて仕方無い。





「〜〜〜〜っ!」

「涙目で睨まれても怖くないよ、デルフィナ」



テーブル越しによしよし、と頭を撫でる彼の腕を振り払う。


本当に屈辱だわ。




 






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