彼の言う通り、見知らぬ誰が作ったり用意したものを食べるのは危険ね。


特にここは【地獄】。
ありったけの愛と共に猛毒が混ざっていてもなんらおかしくはないもの。



「昼ぐらいまでならば、うちにいても構わないわ」

「悪い」

「いいわよこれくらい。……その代わり、貸し一つだから」

「……本当に抜け目のない女だな」

「誉め言葉として戴いておくわ」



そんなやり取りをしながらテーブルの上のチョコレート達を冷蔵庫へと仕舞う。


これらは彼が帰ってからゆっくり食べることにしましょう。



「それ、お前が作ったのか?」

「勿論よ」

「甘くないのは?」

「ガトーショコラとブラウニーはビターだけれど。……食べたいの?」

「腹減った」

「……図太いわね貴方」



つい先程チョコレートで痛い目見たくせに。
とは言わないでおきましょうか。



「なんなら普通にご飯作りましょうか?」

「いや、それでいい」

「ふぅん」



本人が言うならば構わない、と切り分けたガトーショコラと数枚のブラウニーを皿に乗せてフォークと共に手渡す。










とにもかくにも、今回のバレンタインデーは色んな意味で記憶に残るものだったわね。




















バレンタインデーの受難
(この人毎年こんなのなのかしら)



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