「リルはどれが食べたい?」

「わたくしはこれがいいです!」



そう言って指差されたフォンダンショコラと、おまけにマカロンも一緒にお皿に盛り付けて彼女に手渡すと、とても嬉しそうな顔で受け取って食べ始めた。



うん、可愛い。
やっぱり美少女は目の保養になるわね。


小さな口に一生懸命にマカロンを頬張るリルの姿に顔を緩ませながら、マスターに献上する分のウイスキーボンボンをラッピングする。



あとに残ったものは私が食べるのよ。



バレンタインデーという名に肖<アヤカ>って体重を気にせずに甘いものを食べることができる今日は、甘党の私にとっては正に至福の一日。


………でも明日からは少し断食しなければならないし、コルセットもいつもよりもきつめに絞めなければいけなくなるのよね。


はぁ、乙女って辛いわぁ。





ほんの少し憂鬱になって溜め息吐いた次の瞬間、リルから驚くべき言葉が発せられた。



「主さま、アルバロさまにはチョコレートを差し上げないのでございますか?」

「……………」



意味を理解する為に数秒掛かってしまったわ。



「……何故、彼の名前が出てくるの?」

「近頃、主さまと仲がよろしいようでしたので!」

「確かに他の人よりは仲は良いかもしれないけれど、」



私の中では彼とバレンタインデーがどうしても結び付かない。





  






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