陽だまり


>>仔銀と先生
 


 ふわふわする。ぽかぽかする。けど、ぎゅうぎゅうする。この温かな場所に来てから、ずきずき以外を知った。
 先生にそれを問うたら、“感情”と言うのだと教えてくれた。
 何だか目が熱くなったり心臓が痛くなったりしたけど、ほっぺたに力が入らなくてぽかぽかした。

「あ、そうだ。銀時」

 不意に先生に頭を撫でられる。最初は戸惑った優しい手、正直今も慣れない。
 きっと、慣れるのはもっと先で、今まで考えたこともない未来のことだ。

「銀時、誕生日はいつですか?」
「‥たんじょう、び?」

 言葉の意味が分からなくて首を傾げると、先生は口元に手を当てながら何かが考えるように目を細める。
 覗き込むように見つめていれば、先よりも優しい手で頭を撫でられた。

「誕生日というのは、生まれた日のことです」
「生まれた日‥わかんねぇ」

 先生は頭を撫でたまま、今度は柔らかく微笑んだ。

「銀時の誕生日、10月10日にしましょうか」
「なんで?」

 銀時と出逢った日だから、と先生はまた笑った。何だかその笑顔にむずむずして顔を逸らせば、頭をぐちゃぐちゃにかき回された。

「今年はもう過ぎちゃいましたからね、今日お祝いしましょうか」

 なら、準備しないと、と立ち上がった先生は、真っ直ぐに手を差し出してきた。
 何をどう祝うのかわからなかったけど、先生は嬉しそうに笑ってるからこっちまで嬉しくなってきて、手を握り返しながら立ち上がった。

 その夜は、恥ずかしくなって逃げ出したくらい、いっぱい“お祝い”というのをされていつの間にか眠ってしまった。
 翌朝、先生の腕に抱かれて、先生の温もりを感じながら目を覚ました。ぽかぽかして、ふわふわして。
 これが何て言うかは知らないけど、ずっとずっと先生と一緒に居たいと思った。温かい、陽だまりのような場所。先生と一緒の場所。



end.

銀時、誕生日おめでとおおおおおおお!!
若干祝ってるかどうか‥な感じだけど、祝ってる!愛してる!
12.10.10


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