>>銀時、語り



 受け入れることも、拒絶することもできない。楽しむこともなければ、嘆くこともない。
 自覚するほどに、己という存在を諦めている。そのくせ、独りになることを恐れては、周りに誰かを求める。
 己ではなく、“大切”なもののために生きる。己の生を丸投げにして、時の流れに身を任せる。かと思えば、自己を保ちたがる。

「‥くだらねぇな」

 不意に零れた言葉は、宵闇へと沈んでは消えた。
 誰に向けたわけでもないそれは、言うならば自嘲だ。

「ふっ、」

 込み上げる嗤いを放つ先は、空か地か。少しの思考の後、空を見上げた。
 街の明かりが空を汚し、そして、昼夜関係なく飛び交う宇宙船が空を切り裂く。

「‥、くだらねぇ」

 かつての、雲一つない空は、この国にはもうない。敗戦は、国だけでなく空すらも奪った。
 幼少の頃に見つめた空を恋しいと思うかと、そう考えたが、存外、自分にそうした感傷はないようだ。

「薄情な奴」

 また嗤う。嗤って、嗤って、嗤って。そして、泣きたくなった。
 何に対してそうなのか、わからない。曖昧で、中途半端で。そんな自分が嫌なのか。

「‥くだらねぇ」

 かつて、彼の人に出会う前のように、そしてあの戦場の頃のように、己が人ではなく夜叉(おに)だから、こんなにもぐちゃぐちゃとした中身なのかもしれない。
 見た目は白のくせに、中身は黒で。どちらかに染まっているのか、どちらかが染めているのか。それとも、己に色などないのか。
 思考の袋小路は、矛盾ばかりで解などなく、結局は流されながらも己でありたいと思う。

「あぁ、本当‥」

 逃げもしないし、隠れもしない。ただ、動きもしない。 けれど、もしもを待つほど純粋でも乙女でもない。
 そんな自分を盛大に嗤って、空へと向かって叫ぶ。


(ロクデナシ!)


1. Bad Apple!!


ど、独白‥?
銀時の性格とかを考え続けたら、こう、わかんなくなってきて。
何がわからないのか、それすらわからなくて、わからないことがわからない自分を、わからない人がいて、それをわからない人がわからなくてわからなくて。
一人わからない迷路で迷子になってました。わからない。
銀時って芯はしっかりしてるし、自分ってのか確立してるんだけど、何を見てるのかとかよくわからない時があるなって。
うん。わからない。

2011.09.16

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