「え。あれ…帝、クン…何で居る、の?」

階段に一段足を掛けたところで漣が部屋から出て来た。
何時も通りのだらけた着流し姿。
漣はオレの姿を見るや否や間抜け面もいいところ。
嗚呼、面倒くせぇ奴が…タイミング悪過ぎ。
ただ、だからといって気にする事も無く部屋へ行こうとしたが、案の定呼び止められた。

「ちょっと、君学校デショ!?」
「うっさい。今から寝るから絶対起こすなよ」
「待ちなさい帝クン、ゼロクンにまたどやされるヨッ」
「………だからうっせぇよっ」

何か言いたげに漣は口を開けるも、溜め息を吐くだけで、何も言わないまま口を噤んだ。

再び呼び止められない為にも急いで部屋に戻ろう。
こんな奴に付き合ってると疲れが溜まる一方だ。

「今日は何時もにも増して一段と苛々してるネェ…」

急ぎ足で階段を上がる途中、どこか楽しげな声で呟かれた言葉がオレの耳に届いた。



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