雪の女王
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凛の術が鵺の足元を集中的に狙い攻撃していくが、鵺は妖力を爆発させて全て掻き消してしまう。

『いい加減に消えてしまえ』

ユキが尾を一降りすると、そこから無数の氷柱が生じる。氷柱は鵺の強靭な足を大地に縫い留め、その身体を引き裂いて行く。
ユキの攻撃で動きが遅くなったのを見計らい、秋都は刀を上段に振り上げた。

「火の構え、破邪の一撃『せっか』」

振り下ろされた刃から、鳥の形をした白い炎が放たれる。それは、邪なるものを燃やし尽くす裁きの一撃。火の鳥に包まれた鵺は一際大きな咆哮を残して消滅した。
それを確認したユキは普段の子犬の姿に戻り。雪白を鞘に納めた秋都の腕の中に潜り込む。

「ありがとう、助かったよ」
「さすがは女王。圧巻だな」
『当然だ』

ユキが間に合わなければ、秋都は鵺にやられていただろう。本来の姿とはかけ離れた黒い毛並みを撫でながら、今になって胸が冷えていくのを感じていた。
秋都の様子からそれを感じ、尾で己を抱き上げている秋都の腕をあやす様に叩きながら、ユキは凛へと視線を向ける。

『まあ、お前を心配してやってきたリンのおかげだな。こいつの人型が私をここまで案内したのだから』
「え?」

秋都はずっと前を走っていたので、凛もただついてきているだけだと思っていた。





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