Review
10:ペンと剣


著者:猫プリン様
HP or 作品直通:ものぐさ
ジャンル:現代群像劇



 9/20での更新分まで拝読させて頂きました。(『中秋の神隠し』まで)

 連作短編といった形式で、ゆるーい心積もりで読むことが出来る作品でした。かっちりしてないようにも見える登場人物の人間関係も、物語を読み解くにつれて細い糸で繋がっていることに気付かされました。「一章ごとの一瞬を楽しむ」のと、「全体の流れや繋がりを楽しむ」という、二つの楽しみ方が出来る作品なのだなという印象を受けました。

 現代が舞台の物語ですが、ほんのりと漂う非現実的な雰囲気もまた、作品の個性に色を付けているように感じられます。全体的に、著者が登場人物に愛着を持って書かれているのが感じられて、読む側も楽しんで読了することが出来ました。

 文章に関しては、私が読んでいる際に、特上最初読んだ際には「ちょっと癖のある書き方だな」と思ったこともありましたが、特に苦痛に感じる程ではありませんでした。むしろ、物語を読んでいくにつれて「この書き方でないと……」と思えてしまう程です。この文章あっての作品だな、と感じました。
 途中、地の文が明確な意思を持っていたのには思わず笑ってしまいました。普通に馴染んでしまっていることに、です。ネットの小説で時たま見ますが、この作品の場合は一キャラクターとして成立してしまっているような気もしたので、断然ありだと思います。

 少々気になったのは、登場人物に関する描写です。紹介ページがありましたので、そちらを本編読了後に拝見すればある程度補完出来ましたが、本編の描写にムラがあるように感じられました。あと、一章にはほとんど第三者目線の描写がなかったため、一章と二章の差に少しギャップを感じてしまいました。
 全体を通して見ると、章のところどころで文章(描写)の量が増えたり減ったりしていて、ムラがあるように思えました。が、個々で見る限りでは全く問題ないような気もします。

 繰り返しになってしまいますが、連作短編ということで更新に多少ムラが出来ているからなのではと思うのですが、文章にもそのムラが現れているように感じられました。
 あと、登場人物を始めとした描写系統の量が安定すれば、ふらりと立ち寄った読者様にもしっかり面白さが伝わると思います。
 以上の二点がちょっと勿体ないかな、と思いましたので、というか本当に勿体ない、と思いましたので、是非ご参考頂ければ幸いです。

 変わり者の小説家な主人公も、それを取り巻く人々も、どことなく癖があり、病みつきになる人はとことんハマると思います。
 とても私情ですが、苦労性な耕祐さんがとてもイケメンすぎてどうしましょう状態です。

 以上になります。ここまでご拝読頂き有難うございました!

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