土竜




君は卑怯者だ。
まるで土竜。
たまに地上へひょっこりと顔を出し、日光の眩しさに恐れおののき、また地中へ戻る。
暗い闇へと姿を消す。
浅ましくも、地上で戯れる蝶たちに羨望の眼差しを送りながら、冷たくて深い地に身を隠す。

君のそんなところが僕は大嫌いだ。
見ているだけじゃ何もできやしないのさ。
僕がこうやって、君を罵倒している間も、全く抵抗に素振りを見せない。
何か言ったらどうだ。
本当は反論したいんだろう?
僕はそんなのじゃないって、
でも出来ない。
君はそういう奴なのさ。
そんな君が嫌いなんだよ。



そう冷罵する彼の顔は、やはり美しかった。
たとえ僕の溢れる涙のせいで、彼の輪郭がぼんやりと揺らいでも。


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