あぁ、今日も黄色い小鳥が鳴いている。
「・・朝か」
結局昨日はパンナコッタにつられて再びこの真っ白な部屋で朝を迎えてしまったわけで。だ、だけど今度は流されないよ!!今日こそは我が家に帰るんだからっ!!ベッドから起き上がり、部屋に備え付けられている洗面所で顔を洗ってクローゼットからジオが昨日買ってくれた服のひとつを選ぼうとした。が、すぐにクローゼットを閉じた。
「し、白い…」
そう、クローゼットの中は白を基調とした服がきっしり。私は普段から黒中心の服を選んでいたけど、この服たちは昨日ジオが一人でぽんぽんぽーんと服を選んでいったわけで。だ、だけど、よりによって何でこうも真っ白な服ばっかりなのよっ!!仮にも私の着る服なのに……まぁジオのお金で買って貰ったから文句は言えないんだけど・・
「ってそもそも私を家に返してくれれば服なんて必要ないと思うんだけどな…」
ぶちぶちと文句を溢しながら裾に黒いレースがあしらわれた白いワンピースに袖を通し、薄い桜色のカーディガンを羽織って部屋を出た。行き先は食堂。昨日の夜、ジオに「明日起きたら食堂においで」と言われたので私は素直に食堂に向かおうとした。そう、向かおうとしたんだけど・・
迷いました。
・・だ、だってこんなに広いお屋敷、たった二日三日で覚えられるはずないじゃんっ!!私学校いってないし頭よくないし!
「ど、どうしようかな…」
ウロウロとしていれば、扉が少し開いている部屋を発見した。だ、誰かいるのかな?と思い、とりあえずそーっと覗いてみた。あ、ここってたしか…。そこは初日にジオとまわった資料室と呼ばれる部屋でたくさんの本や書類などが置いてあった。こちらからは見えなかったがパラパラと本をめくる音がしたことから誰かいるようで、このお屋敷にもジオ以外に人がいたんだな…と思いつつこれ以上ジオを待たせるのは申し訳ないので扉越しに声をかけることにした。
「あの、お忙しそうなところ悪いんですけど食堂ってどちらですか?」
「あーそこを右に行って突き当たりだ」
「ありがとうございます。じゃあ…」
「おう」
バタン。パタパタパタ…
扉が閉まり、小さく駆ける足音が響く。本がたくさん積まれたこの部屋に閉じ籠って数時間。そろそろ疲れてきたし、食堂で珈琲でも飲んで休むかと考える。先程の声の主も食堂に行くとか言っていたな…。そんなことを思い浮かべていれば、重大なことに気が付く。
「…って、いまの女誰だ?」