「ちょ、ザキ先輩大変ですよ!」


おはようございます。真選組監察方・山崎退です。(今回は話(と言うより管理人)の都合により俺目線でお送りします。度々このような感じになるので以後お見知りおきを)月曜朝5時。早朝からバタバタと廊下を鳴らすなんとも迷惑な足音と自分を呼ぶ声はきっとあの子だ、いやあの子しかいないだろう。スパーン!と部屋の戸が開き、まだ寝間着姿のままの俺の後輩…小春ちゃんが飛び込んできた。


「小春ちゃ…って、ちょォォォ!!ははははははだけてるからァァァ!!なんか肌色の面積スゲー見えてるんですけどォォォ!!」
「別に見られて困るようなモンついてないんで気にしないで下さい」
「ついてるだろォォ!!確かにちょっと控えめだけど、しっかりついてるだろォォォ!!」
「ザキ先輩、フォローしてんだか貶してんだかハッキリして下さい。そして死ね。これでもかってくらい地味な死因で地味な奴らに囲まれて地味に弔われろ」
「さすがにそこまで地味な死に方は嫌なんですけどォォ!?つかなんで俺朝っぱらから悪口言われてんだ…」
「あーもうそんなことより大変なんですって」


『そんなこと』で済ませちゃっていいのだろうか。いやいや良いはずないだろ。仮にも小春ちゃんは女の子だぞ。そして俺は男だ。いや小春ちゃんと俺はそういう関係じゃないけど、なんつーかさっきからチラッチラ見えてんだよ。何がってそりゃアレだよアレ。思わず目がいっちゃうんですけど。あーもうなんで下着つけてないんだよせめてサラシぐらい巻けよアレか?確信犯か?俺は試されてるのか?…いやこの子に限ってそれはないな。

(って、俺男として見られてないってことじゃね?)


「…それはそれで悲しいんですけど」
「は?何がっスか?」
「いやなんでもない。で、どうしたの?」
「これ見てください、これ!」
「ん…?ただのジャンプじゃん。副長に見つかったら大変だよ。はっ!まさか俺に罪を擦り付ける気じゃ…」
「違いますよ。あたしをなんだと思ってるんですか。そんなことするタマに見えます?」
「え、うん」
「……」


ジャンプの角で殴られた。


「スミマセンでした…」
「いえ。で、このページ見てくださいよホラ」
「ん…、なにこれ?」


ずきずきと痛む脳天をさすりながら、ズイッと目の前に差し出された見開きのカラーページを見る。なにやらズラリと数種類のTシャツが並べられている。なになに…?


「ワクワク…、」
「ワクワクサマースクラッチハガキ2010ぅー」
「超棒読みじゃねーか。どうせならもうちょいテンションあげようよ。…ってコレ、」
「そうです!なんと銀魂第一段は我等がジミー、ザキ先輩がデザインのTシャツなんです!!」
「なにその我等がジミーって。え、つかマジ?うわぁ…全然知らなかった」
「…」
「小春ちゃん?」


ソワソワとなにか言いたげな小春ちゃんはふと顔を上げて、今までに見たこともないようなキラッキラの眼差しをこちらに向けて口を開いた。


「地味Tッスね!!」
「なにそのドヤ顔。超ムカつくんですけど」
「いやでもあたし嬉しいんですよ。単行本の表紙も飾れないようなザキ先輩がこうしてプレゼントの賞品になるなんて」
「悪かったな。表紙になる程のカリスマ性持ち合わせてなくて」
「なに言ってんすか。そこがザキ先輩のいいところなんじゃないですか」
「素直に喜べないんですけど!!」


つかこのTシャツ、よく見たら俺よりあんぱんの方が目立ってんじゃねーか。俺完全にオマケだよ。むしろこれあんぱんTシャツだよ。


「ってか小春ちゃん、こんな朝早くからジャンプ買いに行ってたの?…しかもそんな格好で?」
「ええ、まぁ」
「…ハァ、君はもうちょっとその辺自覚持ちなよ。女の子なのに…」
「いやーほんとはササッと立ち読みで済ませてくるつもりだったんですけど………、あ」
「……まさかとは思うけど…」
「あんぱんTシャツがあまりにも衝撃的過ぎて支払いせずに出て来ちゃいました、テヘッ」
「警察ゥゥゥ!!アンタ警察のくせになにやってんのォォォ!?万引きだよソレ!万引き犯以外のなにものでもないよ!!しかもあんぱんTシャツって言っちゃったよ!絶対俺のデザインだって思ってないよ!あんぱんのTシャツだって思ってるよこの子!あんだけ持ち上げときながら、ハナからバカにする気満々だったよこの子!」
「後輩のミスは先輩のミスですよ」
「こんなときだけ先輩扱いィィィィ!!?」


いやーやっちまいましたー、とのん気におでこを小突きながらペロリと舌を出しながら話した小春ちゃんに俺の頭が土方スペシャルの如く真っ白に染まっていったのは言うまでもない。



ザキ先輩とあたしとTシャツ


こっそり応募したのはザキ先輩には秘密だ。


(小春ちゃん。くれぐれもその格好で俺以外の部屋行っちゃ駄目だからね)
(ん、なんでですか?)
(なんでも。わかった?)
(……はぁ)

20100826
あのTシャツ欲しいよね
「#オリジナル」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -