「うーん、ねむい…」

こんばんは、真選組監察方・島田小春でございます。現在あたしはちいさなアパートでその地味さを生かして一流の監察の肩書きを担っているザキ先輩と共に、とある攘夷浪士の見張りの真っ只中です。しかしターゲットはなかなか現れません。正直かなりつまんないです。


「あー牛丼食べたい…餃子食べたい…唐揚げ食べたい…」


そしてザキ先輩はつい先ほど出掛けていきました。きっと今日の夜食のあんぱんと牛乳を買いに行ったのだと思います。「ただいまー」正直あんぱんも牛乳も飽きました。むしろ姿も見たくありません。しかしこれはあたしの尊敬するザキ先輩が誇りを持って行っていることなのでわたしもこの任務が終わるまでは我慢しようと思います。「おーい」ですがこのあいだ土方副局長が訪れたとき、あろうことかザキ先輩は手にしていたあんぱんを土方副局長にスパーキングかましていました。「ねえってば」そのあとザキ先輩はボコボコにされていましたが、あたしは怖いので止めませんでした。「え…?」ていうか面倒なのでCREEの箱庭やってました。「おいィィィ!!」ザキ先輩ってほんとバカだと思います。あんぱんにこだわるのもきっとキャラ付けのためなんじゃねーかって思います。お前はなにしたって地味なんだよって感じ(笑)


「後半貶してじゃねーか!完全に悪口になってんじゃねーか!これ→(笑)うぜェェェ!!言っとくけど全部口に出てるからね!?ていうか先輩がボコられてるってのになに携帯ゲームしてんだよ俺立場ねーよ!」
「あれーおかえりなさいザキ先輩。いつの間に帰ってたんですか全く気づきませんでしたさすがジミーですね(笑)」
「だからその(笑)ってのヤメロォォ!!小春ちゃん本当は俺のこと先輩って思ってないでしょ?完全にバカにしてるよね?ていうかジミーって言っちゃったよオイ!!」
「なに言ってんですか。ザキ先輩には最高の褒め言葉じゃないですか」


ザキ先輩のなで肩でもいかり肩でもないごく普通の肩にぽん、と手を置き満面の笑みでそう言ってあげれば、ザキ先輩はハァとため息をついてわたしの隣へと腰を下ろした。


「ターゲットになにか動きはあった?」
「いえ、相変わらずッス。もう3日ですよ〜なんの動きもなくてつまんないですよ何してんですかザキ先輩」
「なんで俺のせい!!?…まぁそんなもんだよ、張り込みなんて」
「地味な仕事だなーほんとザキ先輩のためにあるようなものですね」
「いや君も同じ役職だからね!?」
「いやー島田小春一生の不覚」
「……」


ザキ先輩は何か言いたげな顔してこちらを見てきたが、あたしは気にせずお腹空きましたとザキ先輩にねだった。ザキ先輩は先ほどコンビニで買ってきたビニール袋の中にガサガサと手をつっこむ。まー、どうせそのビニール袋の中は二人分のあんぱんと牛乳なんだろうけど。


「はい、コレ」
「あーありがとうございま…って、あり?これって…」


手渡されたそれはいつものあんぱんと、紙パックの牛乳、ではなく…


「小春ちゃん、本当は牛乳苦手なんでしょ?いつも無理して飲んでたのバレバレだよ」
「え」
「それにそれなら眠気も覚めると思って」
「…ザキ先輩…」


ザキ先輩はいつものあんぱんをもっさもっさと口に運びながら、いつも通りの牛乳を飲む。そしてわたしの手にはザキ先輩が今も食べているいつものあんぱんと…紙パックのコーヒー牛乳。

…………そう、コーヒー牛乳。


「なんでじゃァァ!!」
「ゴフッ!!?ちょ、小春ちゃ…なにす、」
「あたしが牛乳ダメなの気付いたんだよな?ならなんでコーヒー牛乳にした!?なんで敢えてのコーヒー牛乳なんだよどうせならコーヒー、チョイスしろやァァ!!」


あたしの中でアンパンマンがキレた。間違えたあたしの中でなにかが切れた。

あんぱんを頬ばっていたザキ先輩にコーヒー牛乳を叩き付け、胸倉を掴みあげてそのままザキ先輩の体をブンブンと揺さぶる。脳しんとう起こすんじゃねーかってくらい揺さぶってるのに、毎日副長の暴行を受けているザキ先輩には目眩程度で済んだらしい。なにこれムカつく地味のくせに


「い、いや、やっぱりあんぱんと牛乳は、譲れないと…」
「んなこと己が勝手に八百万の神にささげたことじゃねーか後輩を巻き込むなァァ!!」
「えェェ!?それは小春ちゃんが『それならわたしも先輩に付き合います』って始めたんじゃ…」
「こちとら己のために気ィ遣ったんだよ好きでんなことするかァァ!しかもこんなんじゃカフェイン摂取されんわボケェェ!!」
「ひぃぃぃぃ!!!」







どうやらあたしは限界だったらしい。次目が覚めたときには病院で、何故か包帯だらけのザキ先輩がガタガタ震えながらあたしの好きないちご牛乳をお見舞いにくれました。なんで知ってんだろ。ちなみにいちご牛乳にも牛乳含まれてんじゃんっていうツッコミはお受けしません。いちご牛乳は特別なんです。なにあのミルキーさ。神だろ。神以外のなんでもないだろ。
でも、3日でへばるなんてあたしもまだまだみたいです。これからもっと頑張らなきゃいけないなぁと、あたしは思いました。島田小春




「…………作文!!?」



ザキ先輩とあたしとカフェイン


(次はがんばろーっと)
(おいコラ小春!テメーなんだあの報告書はァァ!!)
(やべ副長!!あ、あっちでザキ先輩がミントンしてます!)
(山崎ィィィ!!!)
(ひぃぃぃぃ!!?)
(ザキ先輩この恩は忘れません多分)

ちなみにCREEってのは言わずもがなGREEです
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