幼少期設定。






頬への冷たさを感じ目を覚ました。身体を起こして頭上を確認するっと閉め忘れた窓から雨が入り込んできていたようだ。サスケは舌打ちをしてベッドから飛び降り、窓を閉めた。ゴムが擦れて鳴るキュウという音が不快で顔をしかめる。静寂を際立てる時計の針も雨音に邪魔されて聞こえない。水を一杯飲んでさっさと布団へと潜り込んだ。しかし目を閉じても視界の奥のまばらな暗さに集中できず全然眠れない。頭の中でひたすら眠れ眠れと呟いても、そのたび頭の奥が目覚めていくような気がした。

「…ひ、うぐっ」

眉間に皺を寄せて下唇を噛み締めて堪えてもひとつ流れ落ちた涙がこめかみの辺りを伝って枕を濡らしていく。何故夜はこんなにも暗く、雨はこんなにも冷たい。青い月がまるで幻影のようで怖くてたまらなかった。拭っても拭っても止まらない雫が疎ましくてサスケは膝を抱えた。愚かだと囁いたアイツの声が耳から離れず嗚咽が止まらない。

「サスケ」

脳天から足先まで、全てに悪寒が走るのを感じた。誰もいないはずなのに、何故自分の名前が。心臓が全身へ警戒心を送る。ぐしゃぐしゃに濡れた顔を恐る恐る上げるとそこには雨によってびたびたになったナルトが頬を掻きながら笑っていた。

「なんで、お前が」
「寂しくて、来ちゃった」

どこから入ってきたんだ。不信感と顔を見られたくない恥ずかしさで、俯き震える声で尋ねてみた。呑気にへへへと笑って、返ってきたのはまるで恋人の部屋へとやってきた女性のような台詞だった。

「夜は寂しいってばよ」
「…」
「寒くて、足が冷えるってばよ」
「…ああ」

俺もだよ、そう言っても上手く声が出なかった。また滲んでくる涙が女々しくて、気持ち悪かった。しかし頭を置く肩が優しくあたたかい。タオルを貸してやらないと。雨に濡れる服に触れてそう思った、だけど今だけはこうしていたい。止まらない水滴は地面へと静かに降り注ぐ春の雨のように、吸い込まれていった。


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