切原と丸井と桜乃がマンションのおとなりさんパロディ





唐突だが、俺は不安だった。いきなりなんだって?竜崎の事に決まってんだろ!なんか赤也とデートとかしちゃってるっぽいし、なんで後輩に先を越されてるんだ俺!情けなくないのか俺!あいつに出来るんだから俺にもできる、頑張れ俺!というわけで今回は竜崎をデートに誘ってみたいと思います。そんなこんなで竜崎の家のインターホンの前に立った。よし押せ、と脳が指令を出すが手が震えてなかなか押せない、どうしちまったんだ。いつもは平気で押してるだろ。あ、違ういつもは大抵赤也が押すから気にしたことがなかった。こんなこともできないほどヘタレてしまったのかと自己嫌悪に陥っていると突然目の前の扉が開く。驚きで情けない声が出た。

「ま、丸井さんっ」
「よ、よお…」
「こんなところで…どうかなさいましたか?」

よし誘え、今しかないだろ。

「ど、どっか出かけんのか?」
「あ、はい。買い物行こうかなと思って」
「そうか、気をつけろよぃ」
「ふふ、ありがとうございます」

オイコラ何やってんだ!デート誘えよ!何気をつけろとか言っちゃってんだ!いや確かに気をつけてもらわないと困るけどな竜崎危なっかしいし!でもそんなところが可愛い…じゃなくて!!

「お、俺もっ、買い物…行こうかな」

上ずりまくった声で放たれた言葉は今の俺の精一杯だったらしい。俺は中学生か。むしろ中学生の頃の俺の方がまだ積極的だった気がする。そんな俺の言葉に竜崎はこちらを振り向いて「一緒に行きますか?」なんて言ってくれる天使みたいなやつだった。正直浮かれた。そりゃあ浮かれるさ。だって買い物だぜ?夫婦みたいじゃね?

「よかったら丸井さんの分のご飯も作りましょうか?」
「マジ!?」
「ええ、丸井さん美味しそうに食べてくれるから作り甲斐があるんです」

なんだこいつ。もうわかった、こいつは俺の嫁さんになるべきだ。こんな機会滅多にないというくらい告白のチャンスだ。自分自身が浮かれている内に言ってしまおう。

「竜崎…あのさ」
「はい、どうしました?」
「よかったら、俺のために毎日…」

「あっれ!丸井さんと竜崎!どっか行くんすかー?」

頼むから空気を読んでくれこのワカメ野郎。あっれーなんてすっとぼけた顔しやがって!絶対タイミング図っただろ!現れた途端竜崎の肩に手を置いて笑う赤也に苛立ちが止まらない。

「二人で買い物に行こうって話になって」
「へぇ、丸井さんにしては頑張ったんすね」

馬鹿にしやがって。

「じゃあ俺もついてっちゃお、欲しいもんあるし」

そう言いながらニコニコ笑う。ちくしょうマジこいつぶん殴りてぇ。つーかなんだ男二人に女一人の買い物ってどんな絵面だよ。シュールだよ。レアリズム極まりねぇよ。

「じゃあ切原さんの分のご飯も作らなきゃですねっ」

俺が必死に突っ込みを入れても当の本人は他人に食事をふるまうことが好きな性格のせいか全く気にすることなく、むしろ嬉しそうに必要な材料を指折りで数えている。赤也はそんな竜崎の手を握って「いつかは俺のためだけに料理作ってくれよ!」と叫んだ。いい加減にしろよてめぇ。
skywalkers



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