寮生活パロ、設定は適当、びっくりするほどベタ



広く鮮やかな色を纏った校舎からそう離れてはいない寮にあるアミティの部屋は二階だった。本日学校は始業式であったため早くと部屋へ帰ってくる事が出来た少女は勢い良く鞄を放り投げベッドへ飛び込んだ。スプリングが軋み音を立てる。
「うう、宿題が終わってなくて先生に怒られたよう」
ぷよの形をした枕に頭を埋め一人ぼそぼそと喋る。新しい学期の始まりだというのに早々叱られてしまった。いけない、反省。…なんて考えていたのは一瞬でそのままの姿勢であっさり眠ってしまった。

一時間ぐらい眠ってしまったのかな、そんな事を思いながらうつ伏せのまま眠りこくっていた身体を腕に力を入れて上半身だけ起こした。壁に沿ったすぐ後ろにある窓を見る。西の空はまだうすらと青いものの全体的に夕焼けの橙を纏っていた。あーあ寝過ぎたあと再び枕へ顔を埋める。なんにもする気が起こらない。手をばたばたと動かしているとべし、何かに当たってしまった。

「わあごめんっ」

思わず零れた言葉だったが、冷静になってみる。ん?疑問が浮かんだ頭のままそちらへ視線を動かす。驚愕した。見覚えのあるさらさらとした青髪と重力を無視したアンテナがぴょこぴょこ跳ねているではないか。あまりの驚きに声も出ないままベッドから飛び降りる。

「あ、あ、あ、し、しぐ、なんでこんなところに」
「んー…」
「のんきに寝てないで!ちょっとシグ!」

一体どうなっているのか、男子寮は少し離れた所にあるはずなのに、こんがらがっていく頭のまま必死にシグの身体を揺すっても夢の世界からの脱却は図れない。どういうことなの。まさあたし部屋間違えてる!?なんだか全てを間違えてるような気がしたアミティが思い切り周りを見渡しても結局家具からなにから自分の部屋だった。

「アミティ」
「!?」

ぼそっ、小さな声で名前を呼ばれた。カチカチに固まっていう事を聞かない自分の頭を無理やり動かす。シグの顔を見ても起きている様子はなかった。

「寝言…?夢にあたしでも出てるの…?」
「ん」

様子を伺うように身体を曲げて確かめていると、二色の瞳がゆらゆらと開いた。ぼけぼけとした視線に驚いているとシグが突然腕を伸ばす。

「つかまえた」
「え、あ、ちょ」

そう言ってごろんと転がり一人分のスペースを作ったと思えば、アミティの腕を引っ張りそこへ招き入れる。びっくりするほどに逃れられない。この彼にこんな力あったのかというくらいだ。腕は掴まりっぱなしでどうする事も出来ない。一体どうなっているの。泣きたい気持ちを堪えながら彼が起きるのを待ち続ける。

この後困ったのが夕食の時間だと迎えに来てくれた寮長ことラフィーナにこのとんでもない現状をばっちり見られてしまったということだ。不埒ですわと泣きそうな顔を両手で覆いながら走っていったラフィーナを追いかける事すらできない、逃れようとすると彼の手の力が強くなるのだ。一体何を捕まえているの。色々と諦めた気持ちで、彼が目覚めるのを待つのだった。


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