続・びしょ濡れ侯爵とアリスの混乱




「骸様、寒くはありませんか?」



今、骸様は私の隣で湿った髪のまま読書中。
犬と千種に『先にどうぞ』と譲ったので彼は一番最後。身体が冷えてないと良いけど…


「えぇ、平気です」

「でも…風邪ひきますよ」

そっと白い頬に触れると案の定、冷たくて。

「もう…こんなに冷えてるじゃないですか」

おやおや、本当ですね気付きませんでした、と他人事のように笑う彼に、つい溜息が漏れた。

「せめて服だけでも、もう一枚着て下さい」

「大丈夫です。クロームがいますから」

笑顔で答えられしまったけれど、会話が噛み合っていない。

「あの、」

すると笑顔のまま嬉しそうに

「暖めてくれるのでしょう?クロームが僕を」

ぽんぽんと自分の膝の上を叩く骸様。

やや眩暈を覚えながらも無意識に体が動く私はやはり、かなりの重症なのね。
まぁ、自覚こそ少しはあったけれど。
気付いた時にはもう手遅れで。

「…先に入ったのが千種なら、もう上がってきちゃう」

「犬が入りましたから問題ありません。あと一時間は大丈夫でしょう。それに彼はともかく、千種は空気が読める人間ですからね。なんとかしてくれますよ」

骸様の太股の上に向かい合うように座らされた私には、当たり前のように為す術もなく、ただ目の前で嬉しそうに細められる緋と蒼を見つめることしか出来ない。
ソファーの上で私の唇を親指で妖しくでなぞりながら彼は妖艶に微笑んだ。

「では、頂きます」


び し ょ 濡 れ 侯 爵 と ア リ ス の 混 乱




(勿論、残さず綺麗に食べますよ)




「犬」
「んぁ?」
「…リビングは行かないでね」
「はぁ?」
「骸様に八つ裂きにされる」
「えぇ!?なんれ!?じゃ、飯は!?」
「今暫く食べれないのと、今後一切食べれなくなるのとの二択」


end.

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100109 うちの骸さんは何故かこんな展開に持っていきたがる


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