ごめんな、


古市
のことが
好きなんだ



俺の部屋で
そう告げた。


古市の顔はとても嫌な顔で
俺がさせたことのない一番の嫌がる顔だった


どうして、そんな顔するんだよ…

「はっ…お前が、おれを…好き?…」


口が歪んでる

汗が止まらない

言わなければ良かったとホントに後悔した。


「あ、あぁ…」

今からでも冗談だと言っても遅くないかもしれないが、頭が回らず素直に言ってしまった。


「気持ち悪い…」


は?
俺の胸がとても痛んだ。
苦しい…
息がうまくできなかった。

古市が俺を気持ち悪いと言った。
本気で、本気で嫌なんだ…


「俺、帰るわ」


「わ、わりぃ、古市、気持ち悪いとかそんなん古市が思うはずねぇと思って言ったんだ」


また、嫌な顔をした

「ぇ、それ、フォローにもなってねぇし…嫌がらせ?それともガチ?」


もう、戻れないのか

「…ガチだよ」


…目を見つめる。
古市が俺を嫌な目で見る。こんな目初めてみた。

透き通った薄い瞳に俺が反射して映る。

なんて顔してんだ、俺。情けねぇ



「俺ら、男同士だけど」


一番言われたくなかった。

「そんなん、関係ねぇよ。俺は…さ、古市という人間が好きなんだよ。もし古市が女でも俺は古市を好きだ」


「なん、で、俺なんだよ」


泣きそうな顔するなよ、俺、古市泣かせたくねぇんだよ、俺が泣かせてしまうのかよ、嫌だ。

古市だから、好きなんだよ、なんでとかじゃねぇ…

「古市は、俺のこと嫌いなわけ?」

「そんなんじゃねぇ…俺ら友達だったろ、なんで急に好きとか言い出すんだよ…それが本気とかほんと気持ち悪い」

気持ち悪い。

また、ぐさっときて、これは、抜けない。駄目だ。辛い。


「どうしたら、気持ち悪いとか思わねーんだ?」

「…男鹿、なんで、そんな俺に執着してんの」

なんで?

つか、執着してねぇし

いや、してんのか。執着なんかじゃねぇはずなんだ…
古市、なんでだ、俺もなんでと問い返したい。


「……好きなんだよ、本気で」


こんなに人を好きになったのは初めてだ。
古市にキスしたいとか
それ以上のことしたいとか
一生守っていきたいとか
俺の新しい感情。

それを受け止めてくれよ、古市。


「泣くなよ…」


「ばか、ふるい、ち、ないてねぇよ」


目が熱い。

しょっぱい。

泣いてねぇよ、情けねぇよ。

「男鹿の気持ちには応えられねぇんだよ、ごめん…でも男鹿と離れんのは嫌だなぁ…今までずっと一緒だったのによ」

なんだよ、
そんな言うなよ。

古市に拒否られた。

それは、俺の存在は古市の中でいらねぇ。
一緒に居たいとか。

俺はそんな甘くて、古市のそばにいられねぇよ。



「古市が俺を好きと思えねぇんだったらよ…俺、これからお前に関わらねぇ…」


決心したんだ。
もう、古市を困らせたりしねぇ


「は?そんなん、ずるい、男鹿。駄目だよ、俺は…俺はさ、男鹿と…」


そんな顔すんなよ、なんで、
切なそうな泣きそうな顔すんだよ、涙溜まってんじゃねぇか。


唇を合わせて

無理やり噛み付くようにキスをした。


「お、が…やめ、ろ」


そんなん、無理だろ。
これが失恋

しょっぱいキスだ


口を離した


「もう、これで会わねぇようにしようぜ、俺たち」


「…男鹿、嫌だ。いやいやいやいやいや、ダメだって、男鹿がいねぇと俺は、俺は!!」


…なんだよ…


「…俺、男鹿を受け止めるよ、ごめんな、気持ち悪いとか言って…男鹿と離れられねぇ俺って多分男鹿に執着してる、し、男鹿のこと…」


涙がとまんねぇよ。
どうすりゃとまんだ、この涙。

嬉しい。

ぐさりと刺さった、言葉は呆気なく消えて、

俺は古市を抱きしめた。

古市も泣き出した、静かに。
抱きしめ返す古市の細い腕が恋しくて、俺のものになってくれんのかなとか思ったらまた嬉しくなってきた。
なんだよ。
なんだよ、嬉しすぎんだろ



「男鹿、好きだ…やっぱ、好きなんだよ、多分」






ごめんな、古市

そして、ありがとう。これからは新しく俺たちの道。

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