隣にひそむ愛の行方


ハヤテの散歩に行くため佳主馬と外に出る
リードをつけていると、ドサッと何かを落とす音がした



「名前…?」

「夏希ちゃん?」

「名前ー!」



散らばった荷物を隣に立っていた男の人が必死に集めている間に、夏希ちゃんは両腕を広げて駆け寄ってくる
でも、その腕に納まる前に私は佳主馬に横から抱き締められた



「ちょっと佳主馬!どいて!」

「無理だよ、夏希姉ちゃん名前のこと離さないし」

「佳主馬は昨日名前と一緒にいれたでしょ?今日は私の番!」

「僕がいる限り夏希姉ちゃんの番は回ってこないよ」

「な、夏希せんぱーい!」



私の両隣で繰り広げられる口論に苦笑いをしていると、さっきの男の人が荷物を抱えて向かってくる
すると夏希ちゃんは私の腕を離してその人の隣に立った



「あ、名前は初めてだから紹介するね
私の彼氏の小磯健二くん!高校で数学教えてるの」

「は、初めまして!小磯健二です」

「初めまして、陣内名前です」



手を差し出すと健二さんも握り返してくれる
良い人そう、なんて思っていると佳主馬が口を開いた



「僕の彼女だから、健二さん」

「え、佳主馬くんの彼女ってまさか…歌姫アバターの名前?!」

「そうだよ健二くん、さすが私の名前でしょ?」

「何言ってんの、僕の名前だよ」



再び始まる口論に、困った顔をしてる健二さん
私は2人の腕の中からそっと抜け出して健二さんの手を引いた



「どうぞ中に入ってください、お荷物半分持ちますね」

「ありがとう…名前ちゃん、愛されてるんだね」



隣にひそむ愛の行方

(あ、名前がいない!)
(…夏希姉ちゃんのせいだ)
(佳主馬のせいよ!)

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