隠しきれない熱ならば


右手にパソコンを抱え、左手で名前の手を引いて納戸に向かう
中に入ってパソコンを置くと、名前の細い体を思い切り抱き締めた



「ひゃっ?!」

「ただいま、名前」

「…お帰りなさい、佳主馬」



名前は小さく肩を震わせてから微笑んだ
その笑顔があまりに愛らしくて、名前の頬に手を添えて指で唇をなぞる
名前がゆっくりと目を閉じるのを確認して顔を近付けていくと、



「佳主馬ー、聖美からでん、わ…あら」



豪快な音をたてて襖が開き、直美おばさんが顔をのぞかせる
びっくりして固まっている僕らを見て、おばさんは目を丸くしてからニヤニヤと笑いだした



「あーら、お邪魔だったかしら」

「なっ、直美さん!」

「ごめんねぇ名前、あ、聖美には佳主馬はお取り込み中って言っておくから」

「おばさん!今行くよ!」



ごゆっくり、と笑いながら去っていく直美おばさんの背中を見送りながら小さく溜め息をつく
恥ずかしさのあまり顔を真っ赤にしてる名前の頭を撫でて、耳元に唇を寄せた





「続きは夜にね、名前」



隠しきれない熱ならば

(いっそ分かち合えばいい)

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