ただいま全面戦争中につき


「ごめんなさい健二さん、全部持たせちゃって…」

「ううん、このくらい平気だよ」



両手に買い物袋を1つずつ持ちながら2人で並んで歩く
門をくぐったところで、視界の端に映っていた名前ちゃんが消えた



「名前!会いたかった!」

「きゃああああ!」

「名前ちゃん?!」



驚いて振り向くと知らない男の人に抱きつかれて転んでる名前ちゃんの姿
突然の出来事に目を丸くしていると、悲鳴を聞きつけた佳主馬くんが玄関から飛び出してきた



「名前!」

「佳主馬、助けて…!」

「何やってるの理介おじさん!」

「理介、おじさん?」



よくよく見ると理一さんそっくりなその人に、僕は首を傾げた



***



「えっと、じゃあ改めて紹介しますね
私の父で理一おじさんの双子の弟の陣内理介です
お父さん、こちらは夏希ちゃんとお付き合いしてる小磯健二さん」

「初めまして、小磯健二です」

「陣内理介です、健二君の話は侘助から聞いてるよ
あまり長居出来ないから短い間になると思うけどよろしくね」

「あ、こちらこそよろしくお願いします」



理介さんは僕の向かい側に座ってにっこり笑う
優しそうな人だな、なんて思った矢先、すごい形相で佳主馬くんを睨んだ



「佳主馬!俺の名前に触るな!」

「は?僕の名前なんだけど」

「お前に名前をやった覚えはない!」

「栄おばあちゃん公認なのに?」

「ぐっ…、なんでばあちゃんは佳主馬を名前の許婚に認めたんだ…!」

「いい加減認めなよ、お義父さん」

「うるさい!お義父さんと呼ぶな!
今日こそ決着をつけてやる、表へ出ろ!」

「望むところだよ」



睨み合いながら庭に向かう2人をおろおろしながら見送る
すると名前ちゃんが持っていたコップをテーブルに叩きつけて立ち上がった



「いい加減にしなさい!
ケンカばっかりするなら2人とも嫌いになるからね!」

「だっておじさんが…!」

「佳主馬がだな…!」

「うるさい!」

「「っ!ごめんなさい!」」



腰に手を当てて怒る名前ちゃんに、2人は肩を震わせて謝る
鶴の一声とはまさにこの事だと思った



ただいま全面戦争中につき

(お前のせいで怒られただろ!)
(おじさんが悪い)
(ふ・た・り・と・も?)
((っ!))
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