星の欠片を追いかけて


名前の足を気にしつつ、いつもよりゆっくりと廊下を歩く
親戚達は一瞬動きを止めてから我先にと名前に駆け寄った
色んな方向から飛んでくる心配や慰めの言葉に名前は一つ一つ丁寧に返事をする
そんな中、夏希姉ちゃんが目に涙を浮かべながら名前を抱き締めた



「名前、足痛いよね、怖かったよね…っ」

「…夏希ちゃん、心配かけてごめんなさい」

「ううん、名前が無事なら良いの!」

「本当に、安心したよ名前ちゃん」

「夏希ちゃん、健二さん、ありがとう」

「さあ、名前も起きたことだし、みんなでご飯食べましょう」



万里子おばさんの一言でみんなばらばらと机を囲んで座りだす
ふと繋いでいた手が離れたので目で追うと、侘助おじさんが名前の手を引いていた



「おじさん!」

「シシッ、ちょっと借りるぞ」



そう言って離れていくおじさんを睨みながら、母さんに急かされて僕は渋々その場に座った



***



「おじさん?どうしたの?」

「ちょっとな」



手を離して縁側に座ると、名前も素直に俺の隣に腰を下ろした



「ごめんな、」

「え?」

「俺や理介がもっと早く手を打てば、あんな思いさせずに済んだのに」

「謝らないで、私なら大丈夫!」

「…強くなったな、名前」

「ふふ、そうでしょう?」

「、っ!」



悪戯っぽく笑う名前に小百合の姿が重なる
思わず息をのむと、名前が首を傾げながら顔を覗き込んできた



「どうかした?」

「あ、いや、飯食うか」

「うん!」



ぱたぱたと足音を立てながら佳主馬の隣に座る名前を見送ってから小さく息を吐く



「小百合…、」



今は亡き彼女の姿を思い出しながら、俺も腰を上げて輪に加わった



星の欠片を追いかけて

(名前は、お前に似て良い子だよ)

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