どうか、きみと


「ん…、」



窓から差し込んでくる光に目を覚ますと、時計の針は13時を指していた
誰も、特に万里子おばさんが起こしに来なかったことを不思議に思いながら居間に向かうと、ビニールプールではしゃぐチビ達とそれを見ている名前が目に入る



「あ、おはよう佳主馬」

「おはよう」

「今ご飯出来るから、ちょっとこの子達見ててくれる?」



ぱたぱたと足音をたてて台所に向かう名前の背中を見送る
縁側に座ってぼんやりしていると、昨日万里子おばさんが言ってたことを思い出した



「…そうだ、今日だっけ」



今年はおばあちゃんの法事で、日本中からおばあちゃんの知り合いがやってくる
おばさん達は家族総出で準備に追われていて、今日は全員家を空けてるんだった



「みんな、ご飯出来たよー!」

「はーい!」



名前の声に反応して次々と居間に上がってくるチビ達
そんな中、加奈が足を滑らせて盛大に転んだ



「ふ、ぇっ…」



じわりじわりと加奈が目に涙を浮かべる
すると、名前が駆けてきて加奈を抱き上げた



「大丈夫?」

「名前おねえちゃん…っ!」

「うん、ちょっと擦りむいてるけど消毒すれば治るからね
泣いてると佳主馬に笑われちゃうよ?」



ね、と僕の方を向いて笑う名前
僕が頷くと加奈は両手で涙を拭って笑った


「泣かないよ!」

「よし、いい子だねー」



加奈の頭を撫でながら名前が柔らかく笑う
その姿がお母さんみたいだ、なんて思った



「(いつか名前と結婚したら、)」



こんな穏やかな毎日を送るのかな
そう遠くない未来を思い浮かべて、僕は小さく笑った



どうか、きみと

(ずっと一緒にいれますように)

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