台無しの時間

2日目、俺達は殺せんせーの暗殺予定地の下見も兼ねて祇園を散策していた



「へぇ、祇園って奥に入るとこんなに人気無いんだ」

「うん、だから私の希望コースにしてみたの。暗殺にピッタリなんじゃないかって」

「さすが名前ちゃん、下調べ完璧!」

「えへへ、ありがとう杉野くん。じゃあここで決行に決めよっか」

「ホントうってつけだ、なんでこんな拉致りやすい場所歩くかねぇ」

「…え?」



そんな時、背後から近付いてきた学ラン3人
不安そうな名前を背後に隠すと一歩前に出て奴らと対峙する
…ふーん、多分弱いな



「何、お兄さん等?観光が目的っぽくないんだけど」

「男に用はねぇ、女置いておうち帰んな」



中学生だと思って完全に油断してるところを、顎を砕いてから電柱に叩きつける
俺よりも一回りでかい男が痛みにのたうち回る光景は何度見ても滑稽だ



「ホラね渚くん、目撃者いないとこならケンカしても問題ないっしょ」

「そーだねぇ」



渚くんとは違う、もっと低い返事が返ってきて後頭部に鈍い衝撃が走る
突然の出来事に上手く防ぐことも出来ず、名前の泣き顔を見ながら俺はゆっくりと意識を手離した



***



「み、皆!大丈夫ですか?!」



奥田さんの声に目を覚ます
腕時計を見ると10分程気を失ってたみたいだ
渚くんと杉野もやられたみたいでお腹を押さえて顔を顰めている



「良かった、奥田さんは無事で」

「ごめんなさい、思いっきり隠れてました」

「…あいつ等犯罪慣れしてやがるよ、通報してもすぐ解決はしないだろうね。ていうか、俺に直接処刑させて欲しいんだけど」



名前のこと泣かせやがって、絶対殺す
どうやって奴らの居場所を暴こうか頭をフル回転させていると、渚くんの鞄からごとんと音を立てて殺せんせー直筆の修学旅行のしおりが転がった



台無しの時間
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