旅行の時間
「渚、班の人数そろった?決まったら学級委員の私か磯貝くんに伝えてね」
「…班?」
「忘れたの?来週の修学旅行のよ」
茅野に言われて思い出す
中間テストが終わって名前ちゃんが編入してきて、そして修学旅行
暗殺教室でも行事の予定は目白押しだ
「カルマ君!同じ班なんない?」
「ん、オッケー」
「ええー、大丈夫かよカルマ」
「杉野君、何言ってるの!カルマ君が同じ班っていうことは…」
「そ、そうか茅野!俺としたことが!」
「そうよ!名前、同じ班になろう!」
「うん、よろしくねカエデちゃん」
茅野に手招きされて、名前ちゃんがふわりと微笑む
周りから悔しがる声が多数上がるなか、僕らは机を囲んで烏間先生が言った通り暗殺向けのコース選びを始めた
3-Eは暗殺教室
普通よりも盛り沢山になるだろう修学旅行に、やっぱり僕もテンションが上がっていた
***
修学旅行初日
駅中スウィーツに気を取られたせいで殺せんせーが新幹線に乗り遅れるというハプニングが早速起こったけど、そこから先は至って順調に旅が進んでいた
「面白いね渚、旅行になると皆のちょっと意外な面が見れるね」
「うん」
「…まあ、1番意外な面を見せてきたのは紛れもなくカルマ君だけどね」
「…うん」
2人揃ってちらりと後ろの座席に目を向けると、名前ちゃんにべったりのカルマ君が見える
そっと2人の様子を観察していると、暫くして名前ちゃんがぽつりと呟いた
「…喉渇いたな」
「ん、何飲みたい?」
「ううん、私買ってくるよ。カルマはいつものいちごオレ?」
「いや、名前のやつ半分貰うから好きなの買っておいで」
普段決して見ることの出来ないカルマ君の優しそうな表情に驚いたところで、名前ちゃんが立ち上がったので慌てて顔を前に向ける
そのせいで茅野とおでこをぶつけ合ってしまってお互い痛がっていると、名前ちゃんは不思議そうに首を傾げた
「どうしたの?」
「だっ、大丈夫!気にしないで」
「それなら良いんだけど…あ、皆の飲み物買ってくるけど何飲みたい?」
「あ、私も行きます」
「私も!」
名前ちゃんの申し出に茅野と奥田さんが立ち上がって後に続く
仲良さそうに連れ立って歩く3人に思わず笑みが零れたけど、何となくざわざわと胸騒ぎがした
旅行の時間
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