衝撃の時間
夏祭りのお知らせ!
今晩7時 空いてたら椚ヶ丘駅に集合!
こんこん、と窓が叩かれたかと思うとそんな看板を持った殺せんせーが窓枠に貼りついていた
仕方なしにゲームを中断して窓を開けるとせんせーは泣きながら話しだす
「今日思い立ってクラス皆に声かけてます。用事で断る人が意外に多くて傷ついてます」
「悪いけど俺もパス。せっかくの夏休み最終日だもん、名前とゆっくり過ごすって決めてるの」
「にゅやっ、そんなこと言わずに!夏祭りデートも良いじゃないですか!」
「夏祭りデートなら合宿行く前にしたし」
「浴衣姿の名前さんを…!」
「浴衣見たかったらいつでも着てもらえるし」
「そ、そこを何とか…」
「だから他を当たってって「カルマくん?誰と話してるの?」
しまった
名前に気付かれる前に追い返そうとしてたのに、俺の努力も虚しく風呂掃除をしていた名前がリビングに戻ってくる
大方の予想通り名前はせんせーが持つ看板を見ると目を輝かせた
「お祭り?」
「はい、名前さんも是非!渚君や茅野さん達も来ますよ!」
「わあ、行きたいです!」
「ほらカルマ君、名前さんは参加したいみたいですよ」
にやにやと笑うせんせーに軽い殺意を覚えながらも、もう行く気満々でそわそわしてる名前を悲しませる訳にはいかない
隣でぴょんぴょん跳ねてる名前の頭をひと撫でして俺は小さくため息をついた
「…分かった、俺も行くよ」
***
「いやぁ、思いの外集まってくれて良かった良かった。誰も来なかったら先生自殺しようかと思いました」
「じゃ、来ない方が正解だったか」
ご満悦な表情の殺せんせーと茅野に挟まれて露店を回る
ふとさっきまで一緒だったカルマ君と名前ちゃんの姿が見えないことに気付いて辺りを見渡すと、2人してくじ引き屋の前に立っていた
「俺今5000円使って全部5等以下じゃん。糸と賞品の残り数から4等以上が1回も出ない確率を計算すると…、名前?」
「確率は99.95%だよ、カルマくん」
「だって、おじさん。本当に当たりの糸あるのかなぁ、おまわりさん呼んで来て確かめてもらおっか」
「わ、分かったよ、金返すから黙ってろよ坊主」
「いやいや、俺達返金のために5000円も投資したんじゃないのよ。名前、何欲しい?」
「私、そのぬいぐるみが欲しい!」
「俺はゲーム機欲しいなぁ」
そんなやり取りが聞こえてきて思わず苦笑いする
暗殺技術の繊細な部分を活かしてみんなが荒稼ぎしていると、祭りの締めを飾る花火が打ち上がった
「濃かったねー…夏休み」
「うん、でも多分…2学期はもっと濃くなる気がするよ」
この教室で確かなのは、僕らも殺せんせーも決してこのまま何事もなく終わらないこと
2学期は、案の定大波乱から幕を開けることとなった
衝撃の時間
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