お揃いの時間
「カルマ君!名前ちゃん!」
「みんな…?」
律がGPSで探し当ててくれた倉庫に向かうと、傷だらけのカルマ君と今にも殴られそうな名前ちゃんの姿があった
ちゃんと2人を見つけられた事に安堵しながらも僕らは更に銃を撃つ
「近所の駄菓子屋で買ったただのBB弾だけど、ちゃんと当たれば痛いでしょ」
「普段あんなの相手にしてりゃその辺の高校生なんて止まって見えるな!」
銃と烏間先生直伝の格闘術でバタバタと倒れていく男達
仲間が突然現れた中学生に次々やられていく光景を名前ちゃんに跨ったまま呆然と男が眺めていると、カルマ君がゆっくりと近付いていった
「いつまでそこにいるつもり?」
「ひぃっ!わ、悪かった!ちょっとした悪ふざけのつもりが…!」
「悪ふざけ?ふうん、じゃあ次は俺の悪ふざけに付き合ってもらおうかな」
男を名前ちゃんの上から引き摺りおろして男の仲間が落とした金属バットを拾うカルマ君
本当に怒っている時にしか見せないその目に、磯貝君と前原君が慌てて止めに入った
「やめろカルマ!そんなの使ったら死んじまうって!」
「どいて磯貝、コイツ殺さないと気が済まない」
「落ち着けって!なぁカルマ!」
「邪魔しないでくれる?」
磯貝君と前原君を振り払ってカルマ君はバットを振り上げる
その時、名前ちゃんが急いで体を起こしてカルマ君に抱きついた
「カルマくん、お願いやめて…!」
「…名前、どうして泣くの?」
「だって、もしこの人死んじゃったらカルマくん捕まっちゃうよ…、そうしたら私、またひとりぼっちだよ…!」
だからやめて、私を1人にしないで、
泣きながら訴える名前ちゃんに、カルマ君は目を見開く
そして金属バットを放り投げると名前ちゃんを抱き締めた
「…ごめん、ごめんね名前」
「カルマくん、いなくなっちゃやだぁ…っ」
「どこにも行かないよ、ずっと一緒にいる」
カルマ君が落ち着いたのを見て、片岡さんを筆頭に男を捕まえてロープで縛る
僕は茅野と一緒に救急箱を持って2人に近付いた
「名前!無事で良かった!」
「カエデちゃん、心配かけてごめんね。渚くんもありがとう」
「どういたしまして。2人とも怪我見せてくれる?大した手当ては出来ないけど…」
「名前はほっぺだけかな?でもすごく腫れてる…」
「大丈夫だよカエデちゃん、すぐ治…痛いっ!」
「ダメだよ名前、あんまり笑ったり喋ったりすると痛いよ」
「…あれ、カルマくん、」
「ん?」
名前ちゃんはカルマ君を見てぱちぱちと瞬きをする
そしていつもの笑顔でふわりと微笑んだ
「お揃いだね、ほっぺ」
確かにカルマ君の右頬にも名前ちゃんと同じような痣が出来てる
茅野が鏡を手渡すとカルマ君は自分の顔を確認してから呆れたように笑った
「本当、バカなんだから」
「うう、カルマくんひどい」
「せっかくだから写真撮ってあげるよ!はい笑ってー!」
携帯を向ける茅野に名前ちゃんはにっこりとピースする
後日この写真は“持っていると幸せになれる”っていう謎のジンクスつきでクラス中に広まる事になった
お揃いの時間
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