始まりの時間

「ああ、そう言えば、」



帰りのSHRの時間、思い出したかのように殺せんせーが切り出した



「明日からこのクラスに1人、仲間が増えます」



ああ、またか
そんな空気がクラス中を包む
本校舎からE組に生徒が送られてくるのは不定期なので、明日新しいクラスメイトが増えても不思議ではない
しかし、その“常識”は打ち砕かれることとなる



「せんせー!どんな子が増えるの?」

「男?女?」

「女の子です、名前はええと…苗字名前さん」

「「「はあああああ?!」」」



クラス中が先程とは全く違う雰囲気に包まれる
疑問、戸惑い、誰もがそんな表情をカルマに向けるが、当の本人も未だに信じられないと目を瞬かせていた



「ちょっ、どういうことだよ殺せんせー!」

「そうだよ、あの頭良し、性格良し、顔良しの苗字さんがE組なんて絶対おかしい!」

「そう言われましても、私もついさっき緊急の連絡が入ったと烏間先生から聞いたばかりで…!」

「…っ、俺帰る、じゃあねせんせー」


「にゅやッ、待ちなさいカルマ君!SHRはまだ終わってませんよ!」

「まあまあ、行かせてあげなよ殺せんせー」

「カルマにとっては一大事なんだからさ!」



殺せんせーの制止に振り向きもせず、カルマは山道を駆け降りる
彼女に何かあったんだろうか、なぜ自分に連絡がないのか
色んな気持ちがぐるぐると渦を巻いて、思わず拳を強く握った



始まりの時間
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