推理の時間

「とにかく皆発熱がひどい、脳にダメージが行かないよう頭だけは冷やしておこう」

「は、はい!」



氷水を詰めた袋を両手に抱えて1人ずつ配っていく
ぐったりと横たわる皆さんの姿に、私はどうしても疑問に思うことがあった



「あの…これだけ強いウイルスなら、この島中に広まってしまうんじゃ?」

「多分それは無い。犯人は感染力は低いと言ってたそうだし…おそらくは経口感染、飲食物等に混入されたと見るべきだね」

「私達だけを狙って盛られたウイルス…一体いつ、どこで?」

「…多分、ホテルで最初に貰ったサービスドリンクだと思う」

「名前さん!」



名前さんは苦しそうに眉を顰めながらそう言う
私も竹林君も耳を傾けると、彼女は私達を心配させないように微笑んでみせてから話を続けた



「竹林君の言う通り、感染力が低く尚且つ私達だけを狙うなら経口感染が1番…クラス全員が同じものを口にしたのはあのドリンクとディナーの時だけで、だけどディナーを食べずに映像編集をしていた三村君と岡島君も感染した。それに、あのドリンクを貰った時カルマくんと渚くんも一緒にいたけど、2人は準備に夢中で口をつけていなかった」

「なるほど…っ、じゃあ!」

「うん、あの時私達にドリンクを配ったおじさんは敵の1人なんだと思う」

「流石だね、苗字さん」

「ううん、もっと早く気付くべきだった。そうしたら皆にも伝えられたのに…」



悔しそうに唇を噛み締める名前さん
彼女の話に改めて敵の脅威を目の当たりにして思わず震えると、名前さんは私の手を握り締めた



「そんな顔しないで、愛美ちゃん」

「名前さん…、皆さんは大丈夫でしょうか…」

「大丈夫、だってあの殺せんせーを標的に毎日訓練してるんだよ?きっとすぐ戻ってくるよ」

「そうだぜ奥田、心配ないって!」

「そうそう、逆にあと15分以内に帰ってこなかったらぶん殴ってやろ!」

「皆さん…!」



名前さんの言葉に、前原君と中村さんもそう続ける
こんなに辛い思いをしてる皆さんに気を遣わせてしまうなんて…
しっかりしなきゃ、と両手で頬を叩いて私も笑った



「はい!それまで皆さんの看病は任せてください!」



推理の時間
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